大雪「上空5,000m」 Date : 2008/08/09 (Sat) TB : CM : 0 Category : ミスフル＠創作

※微シリアス:大神死後、白雪独白








今日も変わらず空は青い。

上 空 5,000 m








「思い切り手を伸ばせば掴めるんじゃないかな？」



ぼーっと空を見上げると、そんな雲がふわふわ浮かんでいる。
他の雲の流れとは違う、随分低い所を流れる雲。

ボクは迷わずその雲に向かって両手を翳してみた。
でも当たり前に雲が掴める筈もない。

ふわふわ漂う雲は、からかうように流れて行く。
指の合間から見ると、何だか手をすり抜けていくように見えて。
もう手の届かない所にいる彼にからかわれているような、そんな気がした。



「大神ー。キミはどこまで昇ったのかなぁ？」



ふわふわ漂う雲は留まる事無く流れて行く。
他の雲とはやっぱりどこか違うけど、それでも止まる事はない。

彼はまっすぐな人だから、雲みたいに止まらないで進んで行くんだろうなって。
そう考えると少し嬉しい。
けど、雲みたいに消えちゃうのは嫌だなぁと思う。

あの低い所を流れる雲、暫く消えないでいてほしいな。
ボクの中の彼が消えないように、消えないでほしいよ。




write:2006.06.10