遊戯王 にはまってしまったようだ これは 萌を ほうしゅつするしかない▽
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ShortShort!!
乃亜@アニメ沿い
※設定※
乃亜@アニメ沿い
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- 電脳空間で暫く経った頃。
- 精神不安定な乃亜。病んでる。
- 自傷行為・軽い流血含むのでご注意を。
電脳空間。
ここにあるのは全てプログラミングされた作られたものだ。
ボク自身には自我がある。感情も生身の身体があった時と変わりはしない、筈だ。
けれどもし外からボクという存在を見たとしたら。結局は0と1の数字の羅列なのだろうか。
ボクは生きている。身体がないだけで精神はここで生き続けている。
それなのに、この電脳空間にある人も、父上がくれたペットもただのプログラムだ。
物を投げ付けてもボクから逃げもしない、噛み付いてもこないペットのサニー。
同じ言葉しか口にしない人々。表情すら常に同じだ。『乃亜様』と挨拶をしてくる人々とボクはまともな会話をした事がない。
それもそうだ。ボクと違ってプログラミングされた存在なのだから、プログラミングされていない事は出来ない。
たとえ会話をしようとしたとしても、プログラム以外の返答は出来ないし、出来ないからと言って考える事もしない。
たとえボクと同じくこの電脳空間にある存在だとしても、奴等はただのプログラム。ボクとは違う。全く違う。同じ筈がない。
「ボクは生きてる!人間だ!」
こんなプログラム達と同じである筈がない。
* * *
この電脳空間の中で生きていた時と錯覚してしまうもの。それは五感だ。
物に触る事が出来る。恐らくはそうプログラミングされているからだろう。水に触れば冷たいし、サニーを抱けば温かさを感じる事も出来る。
季節が変わるごとに咲く草花の匂いも感じられるし、物を口に入れれば味覚もある。
目覚めた時、あまりにもいつもと変わらないボクの部屋だったから生身でない事に気付かなかったくらい、五感に関してはこの世界は精巧な作りだ。
精巧に作られた世界は、ボクの部屋も見事に再現している。ベッドも、机も元のままだ。
カタンと机の引き出しを開けた。この机はなかなかの年代物だ。古い物ではあるけれど、凝った作りで単なる古さは感じさせない。勿論引き出しが開けづらいなんて事もない。
机の中、鉛筆やペンに混じってカッターを見付けた。
ふと考えが浮かぶ。
五感を感じられるこの世界で、もしこのカッターをボクの肌に突き立てたら血は流れるのだろうか。痛みは感じるのだろうか。
生身の身体であるなら自傷行為なんてものを考える事は無い。
けれど今、このボクの身体は生身では無い。今のボクの身体、これは電脳空間にある他の人や物と同じ。所詮はプログラムの一部、だ。
──自然と手は動いていた。
カッターの刃を出して、手首に当てる。
どうやらこのカッターは新品らしい。なかなかの切れ味で、肌に当てた刃をすっと滑らせると手首には赤い筋。どうやら肌が裂けたらしい。
肌に出来た裂け目から浮かんで来るのは赤い雫。その雫を舌で舐めてみると、鉄の味が口に広がった。
「いたい、なあ。ははっ、痛い、痛いよ!」
裂けた肌からじんわりと広がる痛み、浮かぶ赤い鉄の味。
あぁ、これは血だ。プログラムの筈なのに、感じる痛みも血の味も、生身の肉体を持っていた頃の、ボクの経験の中にあるものと変わらない。
「ただのプログラムなんかとは違う、ボクはやっぱり生きている!」
ボクの体温と同じ温度の赤い雫。
痛みを伴うこれは紛れも無い、プログラムだけの奴等とボクの完全な違いだ。
もう一度カッターを滑らせる。
痛みの中で感じる“生きている”というこの実感。
肌の裂け目を、生きている証を、もう一つ手首に刻み付けた。
これだけ、これだけが。ボクが、人間である事の証拠なんだ。
write:2011.01.06
ここにあるのは全てプログラミングされた作られたものだ。
ボク自身には自我がある。感情も生身の身体があった時と変わりはしない、筈だ。
けれどもし外からボクという存在を見たとしたら。結局は0と1の数字の羅列なのだろうか。
ボクは生きている。身体がないだけで精神はここで生き続けている。
それなのに、この電脳空間にある人も、父上がくれたペットもただのプログラムだ。
物を投げ付けてもボクから逃げもしない、噛み付いてもこないペットのサニー。
同じ言葉しか口にしない人々。表情すら常に同じだ。『乃亜様』と挨拶をしてくる人々とボクはまともな会話をした事がない。
それもそうだ。ボクと違ってプログラミングされた存在なのだから、プログラミングされていない事は出来ない。
たとえ会話をしようとしたとしても、プログラム以外の返答は出来ないし、出来ないからと言って考える事もしない。
たとえボクと同じくこの電脳空間にある存在だとしても、奴等はただのプログラム。ボクとは違う。全く違う。同じ筈がない。
「ボクは生きてる!人間だ!」
こんなプログラム達と同じである筈がない。
* * *
この電脳空間の中で生きていた時と錯覚してしまうもの。それは五感だ。
物に触る事が出来る。恐らくはそうプログラミングされているからだろう。水に触れば冷たいし、サニーを抱けば温かさを感じる事も出来る。
季節が変わるごとに咲く草花の匂いも感じられるし、物を口に入れれば味覚もある。
目覚めた時、あまりにもいつもと変わらないボクの部屋だったから生身でない事に気付かなかったくらい、五感に関してはこの世界は精巧な作りだ。
精巧に作られた世界は、ボクの部屋も見事に再現している。ベッドも、机も元のままだ。
カタンと机の引き出しを開けた。この机はなかなかの年代物だ。古い物ではあるけれど、凝った作りで単なる古さは感じさせない。勿論引き出しが開けづらいなんて事もない。
机の中、鉛筆やペンに混じってカッターを見付けた。
ふと考えが浮かぶ。
五感を感じられるこの世界で、もしこのカッターをボクの肌に突き立てたら血は流れるのだろうか。痛みは感じるのだろうか。
生身の身体であるなら自傷行為なんてものを考える事は無い。
けれど今、このボクの身体は生身では無い。今のボクの身体、これは電脳空間にある他の人や物と同じ。所詮はプログラムの一部、だ。
──自然と手は動いていた。
カッターの刃を出して、手首に当てる。
どうやらこのカッターは新品らしい。なかなかの切れ味で、肌に当てた刃をすっと滑らせると手首には赤い筋。どうやら肌が裂けたらしい。
肌に出来た裂け目から浮かんで来るのは赤い雫。その雫を舌で舐めてみると、鉄の味が口に広がった。
「いたい、なあ。ははっ、痛い、痛いよ!」
裂けた肌からじんわりと広がる痛み、浮かぶ赤い鉄の味。
あぁ、これは血だ。プログラムの筈なのに、感じる痛みも血の味も、生身の肉体を持っていた頃の、ボクの経験の中にあるものと変わらない。
「ただのプログラムなんかとは違う、ボクはやっぱり生きている!」
ボクの体温と同じ温度の赤い雫。
痛みを伴うこれは紛れも無い、プログラムだけの奴等とボクの完全な違いだ。
もう一度カッターを滑らせる。
痛みの中で感じる“生きている”というこの実感。
肌の裂け目を、生きている証を、もう一つ手首に刻み付けた。
これだけ、これだけが。ボクが、人間である事の証拠なんだ。
write:2011.01.06
目覚めると、生きる証は綺麗に無くなっていた。
病んでる乃亜たん。
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