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DMパロディにおける、アテムと双六じいさんが初めて出会った時のお話。
※設定※
- 千年アイテムは全てエジプトにあります。
- 千年パズルは未完成のままアテム家に保存されています。
- ちなみに千年パズルはアテムの宝物(=おもちゃ)です。
- 原作では双六じいさんは自分で千年パズルをゲットしました。
- ↑DMパロディではその事実を改変します←
- 遊戯ママが嫁、遊戯パパがじいさんの息子です。
では小話。
アテムと双六じいちゃん@出会いpart1
武藤家に新しい家族が増えてから、あっという間に4年が経った。
“遊戯”と名付けられた自身初めての孫は、それこそ目に入れても痛くない。
あんまり可愛く嬉しいものだから、孫が生まれてからというもの海外へのゲーム調達は自重していた。
世界中を練り歩くことは自分が若い時からの趣味、というより生活の一部ではあったが、可愛い孫は自分の店に置かれる変り種のゲームやおもちゃに興味を持ってはしゃいでいる。
それがあまりにも嬉しいものだから、店番そっちのけで孫とゲームやおもちゃ遊びをしていて、息子夫婦に叱られた事は何度あっただろうか。
『あんまり危ないおもちゃは触らせないでくださいね。』
店にあるのは変わったゲームやおもちゃの類。
しっかりものの嫁さんには、特に注意を受けることも多いが、自分の好きなものに興味を示してくれる孫が嬉しくて、ついつい遊んでしまう。
以前、自分が若い頃から、しょっちゅうゲームを求めて世界中を渡り歩いてきたものだった。
それは年を重ねてからも健在で、それどころかゲームに対する情熱は増すばかりで、ゲームを求める思いはますます強くなっていたのではないだろうか。
それが4年もの間自分の店にいたのは、孫と一緒だったからに他ならない。
しかしそんな孫ももう4歳。
泣き虫ではあるが、元々そんなに手のかからない子である。特にゲームやおもちゃと戯れている時の孫は常に嬉しそうに笑っている。
どんなに泣いていても、気に入ったおもちゃがあれば泣き止むほどだ。
自分と同じようにゲームに興味を示す孫を見ていると、世界中を渡り歩いてきた時を思い出してしまう。
世界中自ら赴き、自らの目で見定める。
様々なゲームを行ってきたが、それは終わりの見えないもので、これからもゲームを追い求めてしまうだろう。
***
4年間、双六は海外へは行っていない。もちろんその間も様々なゲームやおもちゃが店には来たが、そろそろ双六は世界中渡り歩いてきた頃に戻りたくなってしまった。
正確には戻るというより、新たなゲームを孫にも見せたいという思いが強いだろうか。
昔行ったエジプトはとても興味深い国だった。
そんな事を思い浮かべているうちに、いつの間にか航空機のチケットを取っている自分がいた。
「悪いんじゃが、来週エジプトに行ってきてよいかの?」
夕飯の支度をしている嫁さんのところへ行き、少し控えめに声をかける。いきなり“エジプト”などと言われて、しかもそれが来週だなんて、非常識といわれても仕方ないかもしれない。
きっと『また今度にしてくださいね』などと言って、上手いこと丸め込まれるかもしれない。
しかし、帰ってきた言葉は予想とはまったく正反対の物だった。
「海外に行かれるなんて久し振りですね。気を付けて行ってきてくださいね。」
意外にもあっさりと見送ってくれるらしい言葉が贈られてきた。何だか気が抜けてしまったが、そういえば嫁さんと息子と三人暮らしだった頃、しょっちゅう店を空けては世界中へ行っていた気がする。
もちろん最初は『お歳なんだから少しは家でゆっくりしないと…』と心配していた嫁さんも、いつの頃だか『今度はいつ日本にお帰りになるんです?』とまるで海外に行くのが当たり前のような返事に変わってきていた。
もしかすると、嫁さんにしてみれば双六が家にいておとなしく店番(と言うか遊戯の世話)をしていること事態が珍しいことだったのかもしれない。
こうもあっさり見送ってくれるなら後ろめたさも心配もなく、心置きなくエジプトへ行ってこられる。
部屋に戻り4年ぶりに荷造りをする。必要な物を漏らさず、それでも鞄一つで荷物が済むのは長年の慣れによるものだろうか。
あっという間に荷造りを済ませ店の方に降りていくと、何やら遊戯がおもちゃとにらめっこしている。
それも何やら真剣らしい。普段なら降りてくる音に気付くはずなのに、今は何も反応を示さない。
他の子供ならすぐに飽きてしまうようなおもちゃでも、遊戯はずっと飽きることなく大事に遊んでいる。今の遊戯はあまりにもおもちゃに真剣過ぎて、他の事に意識が向かないようだ。
きっとこの子なら、世界中のゲームを求める双六の思いが分かるだろう。
(ふむ。遊戯もエジプトへ連れて行ってやるかの。)
真剣ににらめっこを続ける遊戯に声はかけず、部屋へと戻ると最近撮ったばかりの写真を広げた。その写真達には遊戯の姿が映っている。
遊戯一人だけで写っている写真の表情は緊張している様子も見られるのに、おもちゃやお気に入りのぬいぐるみを抱えた遊戯はどれも満面の笑顔を写真に写している。
広げた写真の中から3枚ほど選び、鞄の中へ忍ばせた。連れて行けるなら連れて行きたいが、それはさすがに無理だろうからせめて写真だけでも エジプトへ連れて行こう。
(今回はどんな収穫があるか楽しみじゃ。)
久し振りの海外。懐かしいエジプト。
一体どんなゲームを新たに発見できるか、期待でいっぱいである。
何か発見したら、ひとまず写真の中の遊戯と喜びを分かち合うことにしよう。
写真の中で満面の笑顔を浮かべる遊戯だが、実際新たなゲームを見たら同じような、もしくはそれ以上の笑顔を見せてくれるに違いない。
それを考えるだけでも久し振りの海外、もといゲーム調達の旅は楽しみなものであった。