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遊戯王 にはまってしまったようだ これは 萌を ほうしゅつするしかない▽
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DMパロディにおける、アテムと双六じいさんが初めて出会った時のお話。

アテムと武藤双六@出会い編その2 >> その1






では小話。

アテムと双六じいちゃん@出会いpart2

 

 季節は夏。
 エジプトと日本の気候がまったく違うことは百も承知である。それなのに空いている便を適当に取ってしまったのは間違いだった。
 航空機に乗ってエジプトに着いてみると、なんと昼間。
 元々日差しを避けるために白地で薄手の上着を羽織ってはきたが、じりじりと照らす太陽光が痛い。直射日光を浴びてしまったら、それこそ強烈な光と暑さに負けてしまう。
 こんな昼間の時間に動き回るのは得策ではない、と双六は思った。
 ちょうどエジプトも夏休みシーズンで、夜中であろうと街は賑わいを見せているはず。
 湿気の多い日本と違い、エジプトの夏の夜は日本ほど暑さを感じない。寧ろ涼しいからか、以前来た時は街中で簡単に子供を見掛けられるほど人が溢れていた。
 とりあえず双六は予約していたホテルへと向かう。そこで夜中までゆっくり体を休め、ゲーム探しのために体調を整えることに決めた。
 何となく双六には予感があったのだ。今回はとても大きな収穫がある、と。
 長年世界中渡り歩いてきたことで身に付いたもの、なのかは分からないが、大抵こういった予感は当たってきた。
 とても珍しいゲームを見つけたこともあったし、親友と呼べる人物に出会うことも出来た。また、滅多に出会うことはないであろうゲームの好敵手にも巡り会えた。
 想像すると居ても立ってもいられなくなる。
 早く太陽が沈んでくれればいい。早く夜が訪れればいい。
 日本に居る時は到底考えられないことだ。当たり前に夜になれば幼い孫は眠ってしまって一緒に遊ぶことは出来ない。遊びに没頭している時などは、明るい時間が続けば良いと思うのに。
 こんなに夜が待ち遠しいのは、今後ないのではないか。そんな風に思いながら夜中を待った。

* * *

 夜中だというのに、賑わいは真昼以上ではないだろうか。
 街中に人が溢れている。日本と違い、店の営業時間も長いらしく、買い物する人の姿も多く見られる。
 そんな賑わう街の端に、以前来た時とても珍しいゲームを見つけた店がある。
 その店には古代エジプトから受け継がれたとされるゲーム盤があったり、現在あるゲームの基盤になった物も置かれていたりした。
 自国のゲームに関わらず、各国のゲームが置かれている点では双六の店にとても近い。
 実際双六がこの店の店主と話してみると、双六と似たような人物であった。
 ゲームが好きで、世界中ありとあらゆるゲームをしてみたい。店を開いたのもゲームに囲まれていたいからと、利益は二の次のようだった。
 その店主とはだいぶ気が合い、結局朝まで語り合ったりゲームを楽しんだりしたものだ。
 迷わないよう店の場所をしっかり思い出す。ホテルを出ると迷わず店の方向へ歩みを向けた。
 懐かしさと再び出会える喜びに、双六の心は弾んでいた。何となく歩みも軽快になる。
 何となく持っている予感は、もしかしたらまた珍しいゲームに出会えるということかもしれない。もしくは店主とまたゲームを行うことだろうか。以前行ったチェスに似たゲームは、引き分けのまま勝負が付かなかった。今回こそ決着をつけるのも良いかもしれない。
 色々な考えや思いが頭を巡る内、次第に店まであと一つ、突き当たりを曲がるだけのところまでやってきていた。
 その時だ。不意に軽快だった双六の歩みが止まった。

「あ、あれは…、遊戯や!遊戯!」

 前方、店方向の突き当たり。曲がって見えなくなってしまったが、あの後姿は間違えようもない。可愛い孫、遊戯であるに違いなかった。
 まだ小さい小さい体と、特徴的な髪色。
 エジプトに来たのは双六一人だ。日本にいるはずの遊戯がいるはずがない。けれど、さっきの後姿は明らかに遊戯だ。何より4年間ほとんど一緒に遊んで過ごした遊戯を、双六が間違えるはずがなかった。
 歩みが止まったのは遊戯を見つけた、ほんの数十秒だけだ。その後はすぐに遊戯を追い掛け、店に向かう突き当たりを曲がった。
 突き当たりを曲がったその先には、以前と変わらず佇む店。開けっ放しの入り口から中の様子が見えるが、その中に先程の遊戯の影を見つけた。
 エジプトの伝統衣装らしい物を身に纏っている。後姿で顔は見えないが、衣装から除く腕の色はエジプト人とは異なるように見える。その子の色は黄色人種に近いものだ。
 店に入ると、中は以前よりもゲームの数が増えていた。遊戯はそれらのゲームを何やら眺めたり、触ろうとしているようだった。

「遊戯!どうしてエジプトにいるんじゃ!?」
「!?…ユウ…?」

 遊戯の肩に手を置いて、少し屈んで話し掛ける。
 びくりと肩を震わせた遊戯におかしいと思ったが、それは当たり前のことだった。
 振り向いた遊戯は、遊戯のようで遊戯とはまったく異なっていた。
 目の色が遊戯よりも赤に近い。目付きも異なる。幼いながらはっきりとした顔立ちのように感じられる。肌の色こそ日本人の双六に近しいが、顔立ちから察するにこの子供もエジプト人なのだろうか。
 何より普通に日本語で話し掛けたが、言葉の意味を分かっていない、そもそも聞き取れていないようだった。
 ─よくよく考えれば分かるはずだ。日本にいるはずの遊戯がエジプトにいるわけがないのだ。
 双六がエジプトに来たのは唐突だったし、あのママさんが遊戯を連れてエジプトに連れてくるとも思えない。もし来るなら前もって言ってあるはずだ。
 よく見れば異なると分かってしまった今となっては別人と認識出来る。しかし、この子は遊戯と同じ特徴を持ち合わせすぎている。それこそ双六でさえ勘違いしてしまうくらいに。
 遊戯を知る人ならきっと誰もが勘違いしてしまうに違いなかった。

「遊戯…ではないんかの。驚いたわい。」

 双六が遊戯と勘違いしたこの子供は、今度はぽかんと双六を見上げている。
 この子供にしてみれば何故話しかけられたかも分からないだろうし、見慣れない日本人の姿に驚き…なのかは分からないが、続く言葉も発せないようだった。

 

write:2008.09.03

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