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- 旅立つ日の空は
- 振り返らないと決めた
- うしないませんように
- 求めるものの影
- たとえばこの先に
- もう行かなければ、
- 願いを辿る道
- 残してきた過去のこと
- 届くようにと祈る
- いつか来る日へ
闇表前提。闘いの儀の少し前からその後。
1→10で続き物。基本シリアス。DM沿い。
“名も無きファラオ”
それが、オレの姿だった。
* * *
オレが何者であるのか。一体何なのか。それはオレ自身分からない事だった。
しかしそれは、様々な出来事を通して知る事となった。
オレの失われた記憶。─そして、名前。
現世に蘇って間も無くは、深く考えなかったオレの存在理由。
何故こうしてオレは存在しているのか。存在意義は何であったのか。
何故、相棒でなければいけないのか。
過去も、何もかも全てを知ってしまった今では、役目を果たさなければいけない。それが今まで存在してきた理由、そして相棒を選んだ理由だろうから。
「お前と、永遠に共にいたい─」
あの日誓ったあの言葉。それは紛れも無く本心からの言葉だった。
このまま、この傍から見れば奇妙な相棒とオレの関係。それはいつまでも続くものだと当たり前に認識していた。寧ろ、それをオレは望んでいた。相棒を失う事に恐れていた。
あの日の言葉はオレが何であるかを知ってしまうにつれて、誓えないものへと変化した。いや、そもそも誓えないものを、勝手に誓えるものだと思っていただけかもしれない。
オレの人生の中で最も充実した、そして楽しかったこの時間が生んだ身勝手な誓い。そしてそれはオレの心の弱さに因るものに過ぎない。
この体を共有している時間、大切な相棒といられる時間は、確実に終わりに向かって進んでいる。
「相棒、オレは本気でお前を─倒す。」
相棒はオレを見送ると決めてくれた。最後のデュエルの相手に、自ら名乗り出てくれた。それも海馬瀬人、奴の言葉を受けながらだ。
オレにとって、おそらくこれが最後のデュエルになる。それを自らの強い意志で受けてくれた相棒に、オレは背きたくない。
共にいてくれた掛け替えのない相棒。
本気で勝ちに来るだろう。デュエリストとして。そして、オレを逝くべき所へ導くために。
逝くべき場所に逝く為とは言え、たとえ相棒相手だとしても負けを譲るつもりはない。正々堂々、本気で勝ちを取りにいく。
それでももしオレが負けた時は、オレの役目が本当に終えられた時だろう。
だからその時オレは振り返らない。
相棒と、そしてみんなと別れる時は。
デュエルキング、その名に恥じない最後を。
──振り向かず、前だけ向いてオレは逝く。
write:2008.09.18
メンタル豆腐じゃない王様も好きだぜ。