[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
闇表で双子パロディ。
※設定※
- 兄:遊戯(表)、弟:[遊戯](闇)。
- 兄:成績・運動どちらも苦手。補習の常連。
- 弟:何でも出来る優等生。生徒会役員。
- たぶん闇→表。
- ただの闇+表かもしれない。
学校の終わりを告げるチャイムの音。
鞄の中に教科書を詰め込む。
そういえば明日、数学の小テストがあるんだった。おそらく今日授業で習った練習問題、それに近い問題が出るだろうと予想する。それならもう完璧に理解してあるから、少し復習すれば問題ない。
生徒会の仕事もとっくに済んでいる。
宿題も済んだ。抜かりはない筈だ。
「さて、帰るか。」
重くなった鞄を背負い、[遊戯]は教室を後にした。
向かう先はいつも通り。双子の兄がいる教室。
既に太陽はだいぶ傾いていて、夕日の赤が目に痛い程鮮やかだった。
* * *
「遊戯、いるか?」
教室の前の扉から中を覗き込む。
遊戯の席は一番前。
双子であると言っても、兄の遊戯の身長は弟の[遊戯]よりも低い。もしかしたら頭一つ分くらい違うかもしれない。
前に、『海馬くんが前の席に来ると黒板見えなくなるんだ!』と言っていた事がある。視力はそんなに悪くないから、おそらく身長を配慮しての前の席なのだろう。
いつもの一番前の席。そこに兄の姿は変わらずあった。
「あ、[遊戯]!来るの待ってたんだよ!」
遊戯の机の上には、何やらプリントが数枚無造作に置かれている。それとシャーペン、消しゴム。大量の消しカス。
(待ってたって…それじゃすぐ帰れないぜ、遊戯。)
鞄は机の横にかけたままだ。帰り支度はまったく出来ていないようだった。
「遊戯、これは…?」
何の躊躇もなく[遊戯]は教室に入って行った。
他に数人、教室には残っているが、放課後[遊戯]が遊戯の教室を訪れるのは日常茶飯事だったから、誰も気にする人はいない。
丁度遊戯の隣の席が空いていた。[遊戯]はその席へ座り、無造作に置かれたプリントの内、1枚を手に取った。
(………。)
書いてある文字を読むなり、眉間に皺が寄る。
そんな[遊戯]を見た遊戯は、どこか違うところへ視線を彷徨わせた。
そして[遊戯]とは目を合わせないように、それでいてどこか誤魔化すような、わざとらしい身振り手振りで話し始めた。
「今日の夕飯、カレーって言ってたよ。楽しみだなぁ、カレー!あ、そうだ!早く帰らないと新しいカードパック買えなくなるよね!大変だー!新しいシリーズ、良いカードあるかなぁ?店には来週じゃないと入荷しないってじいちゃん言ってたから、今日はカードショップ行かないとなぁ。それと─」
「………補習プリント。」
遊戯の独り言のような話を途中で打ち切る[遊戯]の言葉。
ぴくりと一瞬肩が震えたと思ったら、そのまま遊戯の動きは止まった。背中に冷たい汗が流れる感覚。それを遊戯は感じていた。
(負けるな、ボク…!)
それでも遊戯は平静を装った風な、そんな表情を貼り付けたつもりで何とか言葉を紡いだ。
「な、なんだろうなー。分からないなー。」
「…オレを馬鹿にしているのか?」
「そ、そんな訳ないじゃないか!」
「へぇ、そうかよ。」
今[遊戯]を見てはいけない。もし目を合わせてしまったら絶対もう無理、誤魔化せない。遊戯の脳内では危険信号が煩いくらいに鳴り響いている。
けれど危険信号は鳴っているだけで、どうにかなるわけでも何とかしてくれるわけでもなかった。
ぐいっと肩を掴まれ引っ張られる感覚。
「うっわっ…!」
いきなりの事に遊戯はバランスを崩してしまった。引っ張られた方向へ体は勝手に向かってしまう、逆らえない。
引っ張られた先にあったものに当たって、遊戯の体は止まった。何てことはない、肩を掴んで引っ張った[遊戯]、その体に当たっただけにすぎない。
けれど、距離があまりにも近過ぎる。
まだ何とか目を合わせないようにとする遊戯だったが、それはもう無理だった。
[遊戯]は未だに肩を掴んだまま、遊戯の顔を覗き込んでいた。口の端を上げ、それこそニヤリと笑みを浮かべて。
ほんの数センチしかない距離に、最早遊戯は観念するしかなかった。
「これは、何だ?…さぁ、何でこんなプリントを持っているのか言ってもらおうか。」
口調はまだ優しげだと、そう遊戯は思いたかった。が、「絶対言え」と無言の圧力をかける[遊戯]の表情を見てしまっては、心の中で泣くしかなかった。
「だからそれは~…」
もごもごと喋る遊戯、言葉は続かない。
そんな遊戯に[遊戯]は手加減をしなかった。
「だから、何だって聞いてるんだ。」
“補習プリント”と書かれた文字を見た瞬間、[遊戯]にはそれが何を意味するのか、何故持っているのかくらい分かっていたのだ。
明日行われる数学の小テスト、遊戯のクラスでは一昨日行われたというのを知っている。あの数学の先生の場合、100点満点中50点以下は問答無用で補習プリントの刑を食らわすから、補習常連者には苦手とされる存在だ。
別に理不尽な問題を出してくるわけではない。けれど授業を理解していなければ解けないだろうなとも思う。
遊戯はゲームの腕は[遊戯]と同レベル。勝敗はいつも分からない、それくらい互いの力量は拮抗している。その集中力が勉学にも向けば良いのに、まったく向かないのは遊戯と[遊戯]の違いだった。
どうも遊戯は勉強アレルギーらしい。授業は受けても、それっきり。とにかく家に帰ればゲームかデッキ調整か遊びに行くか。選択肢に“宿題”や“予習・復習”なんて単語は一切ない。
未だに観念しない遊戯に、[遊戯]は殺し文句を言う事に決めた。絶対観念する、そんな言葉だ。
「遊戯。ちゃんと言わないと手伝ってやらないぜ?」
“補習プリント”と書かれたそのプリントには、「○日放課後までに提出。期日厳守。」と書かれている。
提出日、それは明日だ。プリントは何か書いた跡と皺があるだけで、まだ一問も解けていなかった。
「~~!!わぁ、言う、言うよ!一昨日の数学小テスト、駄目だったんだよ!ゴメン、[遊戯]手伝わないって言わないでー!」
殺し文句にどうやら遊戯は引っ掛かってくれたらしい。
それもそうだ。遊戯は一人でプリントをやり終える自信なんて一つも持っていなかった。
(こんなの出来る訳ないじゃないかー!)
[遊戯]が来るまでの間、一問くらいは解けるだろうと思ってプリントを広げたが、全然解けない。増えるのはプリントの皺と消しカスだけ。
先程まで心の中で泣いていた遊戯ではあるが、実際に涙を流しそうな、そんな切羽詰った表情を浮かべた。
そんな遊戯に[遊戯]はぷっと吹き出して見せた。
「ま、どうせそんな事だろうと思ったぜ。ちゃんと手伝ってやるよ。礼はそうだな…新作パック、遊戯の奢りな?楽しみだぜ。」
漸く[遊戯]は遊戯の肩から手を離した。ついでに至近距離だった顔も離す。
解放された遊戯は、自分の鞄を机の上に置いた。散らばったプリントと筆記用具、それらを詰め込む。消しカスは机の端に寄せて、手のひらに落とした。
「良いさ、お小遣い貰ったばかりだし!ほら、早く帰ろう[遊戯]おいてくよ?」
鞄を背負って先に立ち上がった遊戯はゴミ箱に直行し、手の中の消しカスをそこに捨てた。
そのまま教室の入り口に移動する。まだ座っている遊戯を急かすように手招きした。
「………現金すぎるだろ、遊戯。」
ゆっくりした動きで[遊戯]もまた席を立った。
遊戯の横に立つなり、こつんと一発頭に食らわせた。
まったく痛くないそれに遊戯は舌を出して笑った。
遊戯と[遊戯]のいなくなった教室では、残った生徒が「本当仲良いよなあ」と口々に呟いていた。
write:2008.09.11
双子なら「AIBOOOOOOOOO×∞!!!」な闇でなくても良いかと思った。でも魔王様にはなりきれない。魔王様は難易度高すぎて書けないんだZE★rz
ナチュラルべったりな闇表が好き。周りは振り回されるか見てない振りすれば良い←
アニメ設定では表と闇で頭一個分身長違うんだっけ?闇様、本当は身長いくつなんだ、教えてくれ/(^o^)\
個人的に純粋乙女☆AIBOが大好きだ^^だけど、普通男子高校生AIBOも大好きだ(^q^)
兄:闇、弟:表も面白そう。歳離れた兄弟も良いなあ。かわいいは正義(^ω^)