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遊戯王 にはまってしまったようだ これは 萌を ほうしゅつするしかない▽
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DMパロディにおける、海馬兄弟の日常風景。

※設定※

  • DMパロディ設定なので、長男:瀬人、次男:乃亜、三男:モクバです。
  • 基本的に兄弟仲良しです。
  • 日常的に瀬人vs乃亜の主権強奪戦争口喧嘩が繰り広げられます。
  • 止めるのはもちろん三男:モクバ。
  • 2回目ですが兄弟仲良しです←


では小話。


瀬人モクバの場合~
 
「モクバ、アレを取ってくれ。」

 カタカタと慣れた手付きでキーボードを操作するのは瀬人だ。
 若くしてKCの社長となった彼は、毎日のように業務に追われている。
 そんな瀬人をバックアップするのは大抵モクバ。
 乃亜は乃亜で、瀬人と異なる自分の業務を執り行っているから、自然と瀬人の手伝いをするのはモクバがいつもの状態であった。
 
「わかってるよ兄サマ!これだよね。」
「あぁ、すまないモクバ。」
 長年一緒に住んでいると、アレやコレで意味が通じてしまう物である。
 もちろん瀬人とモクバも同様で。
 広いデスクの上から、新製品の開発状況・製造プランが記された書類を探して手渡す。
 当たり前に受け取った瀬人は、それを眺めながらおもむろに受話器を取り、掛け慣れた番号を押した。
『…はっ、何か御用でしょうか!』
「磯野か?話がある。急いで社長室へ来い。」
 ガシャン。
 用件だけ伝えて即切った電話。きっとあと30秒もすれば、息を切らした磯野が社長室に見えるだろうか。
 いつもの事ながらモクバは何となく苦笑した。

「それじゃあ兄サマ、オレちょっと乃亜のところ行ってくる!」
「ああ分かった。また後でな。」
 『兄サマの仕事の邪魔はしないぜ☆』とでも言わんばかりの元気さで、モクバは瀬人の社長室を後にした。
 きっと乃亜もまたパソコンに向かってしかめっ面になっているに違いない。
 お手伝いモクバの出番である。

(アレ=仕事の書類)→クリア!

* * *

乃亜モクバの場合~

 どうやら乃亜はモクバが来るのを予想していたらしい。
 モクバが乃亜の部屋を開けて早々、乃亜はパソコンと向かい合っていた体を部屋の入り口側へと向けた。
 
「あ、モクバ待ってたよ。あれすぐに必要なんだけど、大丈夫?」
「あぁ!これだろ、乃亜!ちゃんと用意してあるぜぃ☆」
「さすがモクバ!ありがとう。」
 いつも兄2人の影に隠れがちだが、モクバだって自分で色々処理をしたり、書類作成をしていたりする。
 つい先日、モクバは『あれ、まとめておいて』と乃亜に言付けられていた。
 本当にただ“あれ”と言われただけであったが、すぐにモクバは必要なデータを一通り自分のパソコンへ送信し、その後は何やら書類らしき物をまとめていた。
 どうやらそれは、乃亜が開発したソリッド・ビジョンシステムの有用性を纏めたものらしい。
 瀬人とは違うプログラムで組まれているため、使用場所や用途によっては乃亜の作ったシステムの方が有効な場合も多い。
 バラバラと存在していたデータを分かりやすく纏め、ついでに瀬人と乃亜のシステムの比較についてもモクバなりに記されている。

「……うんうん、なるほどね。ちょっとシステム改良してみようかな。そうすれば瀬人のプログラムと差別化出来て使い勝手良くなるかもしれない。」
 書類を手にしデータに目を通す乃亜は、既に頭の中でシステム改良の目処を立てているらしい。
 カタカタと、何やらキーボードを叩く軽快な音が聞こえ始める。
 作業を始めると、兄弟の中で一番早いのは乃亜である。思った事をそのまま行動に移すため、意外に熟考タイプの瀬人より仕上がりは早いらしい。
 そして作業中一番周りが見えなくなるのがまた乃亜だ。きっとまた暫くパソコンとにらめっこになるのかもしれない。

「じゃあ乃亜、また手伝うことあったら言ってくれよな?」
「もちろんさ。それじゃあまた夕飯の時に。」
「あぁ!」
 片手を振る乃亜の姿が見えるが、顔はもうパソコンの画面に釘付けのようだ。
 空気の読めるモクバは、乃亜の部屋も後にする。そういえば仕事もあるんだった。ペガサスとの会食の予定を調整…と言うより瀬人と乃亜を上手いこと会食の席へ招く手筈を整えなくてはならない。
もう今日はお手伝いモクバの出番もない、はず。
 迷わずモクバは自分の部屋へと向かった。

(アレ=書類作成)→クリア!

* * *

瀬人乃亜の場合~

 モクバが瀬人、乃亜それぞれの手伝いを終えてから数時間後。現在時刻は23:00。
 乃亜の部屋に瀬人がやってきたのは、他の人間には唐突であるように見えるかもしれない。
 しかし乃亜にとっては瀬人が来るのは予定通りであったし、瀬人にとってもそもそも乃亜のところへ行く予定であった。いや、行く必要があったというべきか。
 若干不機嫌そうにも見える表情の瀬人は、高圧的な態度を乃亜に示した。ように見えた。

「乃亜、貴様がしたのはわかっている。アレがないと話にならん。早く解除するんだ。」
「は?あれって何かな。あれなんて物、ボクは知らないね。」
「アレと言ったらアレに決まっている。とぼけたフリはよせ!」
「知らないね。…瀬人になんかあれを見せはしないよ!」
「…んな貴様!わかっているならさっさと解除すれば良いだろうが!」
「今回はボクが処理するよ。瀬人は休んでいたら?だ・か・ら、おとなしくボクに任せてくれ。」
「なんだと!オレの方がよっぽど立派な物を作って見せる!」
「さぁ、どうだか?瀬人の作るあれはワンパターンなんだ!たまにはボクのを見習ったらどうだい?」
「乃亜。…貴様、そこへ直れ!その性根叩き直してくれるわ!」
「長男のクセに、困ったら怒鳴るのかい?そんな瀬人の性根こそ直すべきじゃないか!」
「な・ん・だ・とー!!」
「な・ん・だ・よ!!」
※暫く続く。

 瀬人と対等に口喧嘩できるのは乃亜だけだろう、と思う。
 まだ成長途中で比較的小柄な乃亜とモクバに並ぶと、瀬人の長身はより強調されるものだ。
 ただでさえ威圧感のある瀬人にこの長身で高圧的な態度を取られてしまったら、大抵の人は怯んで何も言えなくなってしまうのではないか。
 しかし乃亜はまったく恐れることはしない。寧ろ逆に食って掛かるくらいの勢いで反論する。
 怒りに任せて怒鳴りつけるところも見られる瀬人に比べたら、乃亜の方が大人にも見えるかもしれない。
 おもむろに乃亜はデスクの引き出しから大判の封筒を取り出した。そしてニヤリという擬音がぴったりくるような、そんな不敵な笑みを浮かべた。

「ふふ……。瀬人、今回だけは譲るわけにはいかないんだ。…とっておきがあるんだよ。瀬人にはまだ見せられない。」
「……ちっ、せっかく良い写真が見つかったものを。」

 海馬コーポレーションでは毎月社員向けの冊子が発行される。内容はもちろん業務関連の物である。が、実際はそれだけではない。
 この冊子は元々瀬人が始めた物で、業務内容と社長からの言葉が添えられていた。
 発行当初、多忙な瀬人に代わってモクバが作成したことがある。モクバが作成した物は文字だけではつまらない、と思ったかは分からないが、瀬人の言葉の横に写真が貼付されていた。それと乃亜、モクバからの言葉も載せ、最後のページには瀬人、乃亜、モクバ3人の写真が1枚載せられていた。
 兄弟3人、特に瀬人・乃亜2人とも比較的穏やかな表情の、その写真が良かったらしい。
 社員からの評判は磯野を通じて聞かされたし、冊子配布後の社員の様子はいつもと異なると明らかに感じられるくらい色めき立っていた。
 この事を知って面白がったのが乃亜だ。次回の冊子の作成を引き受けたかと思ったら、出来上がった冊子に掲載された写真の量は前回の倍以上(そもそも前回は2枚だけだが)に増えていた。何より掲載された写真が業務とは関係ないような、それこそプライベートで海馬ランドを満喫する笑顔のモクバ+αであったから、社員からの評判は前回以上。
 このことに一番頭を抱えたのは他でもない瀬人だった。
 ある幼い子を持つ社員からは『子供が社長のファンなので、写真喜んでいましたよ』やら、ある女性社員からは『ご兄弟、やはり仲が良いんですね』やら、その他諸々。
 この冊子の発行理由は、全社員が業務内容をきちんと把握出来るようにと言うものからだった。が、たった2回。モクバ、乃亜それぞれ発行した写真付きの冊子がここまで評判を得るとは思いもよらなかった。
 兄弟仲云々はともかく、『子供がファンで─』といった言葉を無視することは瀬人には出来なかった。
 たかが写真と侮れないものらしい。
 もし今度の冊子で写真を載せなかったら、いつも通りの社内だろうか。写真付き冊子だった2ヶ月、海馬コーポレーションの業績は明らかに上昇している。この色めき立つ社員達は意外にも業績に良い影響を与えていたようだ。
 それなら別に写真を載せるのは悪いことではない。それよりこの社員達のモチベーションを維持する方がよっぽど大切なことのように思えてくる。
 いかにモチベーションを維持するか。社員達にやる気を出させるのか。
 冊子が影響を与えるというなら手を抜くわけにはいかない。
 今まではただ的確に業務内容を伝えられれば良かったが、如何にして社員のモチベーションを上げられる、そんな冊子を作るのか。
『乃亜とモクバに出来て、オレに出来ないわけがない。』その勢いで瀬人が冊子作成に励んで早数ヶ月。
 今となっては冊子作成が楽しみになっているのが事実だった。
 写真に色めき立っているのは何も社員達だけでない。冊子作成している本人こそ、写真を選んでいる時、特に笑顔の写真を見ると何だか嬉しくなるものだった。
 どんなに忙しくても毎月の冊子作成だけは忘れない。それどころか、業務状況によっては月に2,3度作成することも厭わなくなった。
 しかしそんな瀬人を見て、面白くないのが乃亜だ。
 元々写真を貼付することを思い付いたのはモクバだった。
 更に写真を増やしてより好評を得たのが乃亜だった。
 それを踏まえて、また瀬人だけで作成し、社員からの好評も得ている。
 乃亜は思った。
『ボクの作る冊子の方がより優れている!』と。
 乃亜は瀬人に直談判した。もちろん乃亜にも冊子作成をさせろというものだ。
 この時は瀬人は特に何も思わなかった。
 別に冊子作成を乃亜にも任せるのは悪いことではない。楽しみになっている冊子作成であっても、作成のために時間を割くのが困難な時もたまにある。
 それならたまにくらい任せても良いだろうと。しかしこの判断が、兄弟の負けず嫌いを助長させる結果となった。
 言わずもがな、兄弟3人仲が良い。ただそれは末っ子モクバが場を纏めている時に限る。
 本来仲は良いのだが、瀬人・乃亜ともに自己顕示欲が強いのだ。それに何かといつも、2人で張り合っている。
 冊子作成がほぼ2人で交互ずつの形になってからというもの、どちらがよりよい冊子を作成できるのかの競争になってしまった。
 社員達にして見れば、毎回発行される度に進化していく冊子にモチベーションは上がりっ放しである。が、作成している本人達はいかに相手に負けないものを作るかに気を取られることもしょっちゅうだ。

 今回の冊子作成は、順番的に瀬人だった。
 写真は兄弟専用の共有フォルダに保存してあるものや、自分で密かに撮り貯めていたものを載せている。
 瀬人が共有フォルダを見たところ、何やらメッセージが現れた。
“瀬人立ち入り禁止。”
 モクバが何も言わない辺り、ファイルはすべて無事なのだろう。そう考えると、アクセス出来ないのはメッセージ通り“瀬人だから”になる。
 今となってはモクバは冊子作成にほとんど関与していない。それに自分を“瀬人”と呼び捨てにする人物で、こんなことをする人物。
 それなら考えられるのはただ1人。乃亜がロックを掛けたに違いなかった。
 わかってしまえば後は行動するだけだ。
 それが今に至る。瀬人が乃亜の部屋を訪れた理由だった。

「今度のボクの分は瀬人に譲ってあげる。でも今回だけはボクがやるよ。」
「…ふぅん。もう良い。勝手にしろ。ただし、あまりにもくだらないものだったら許さんからな。今後はオレ1人で作る。」
「わかってる。楽しみにしててよ。瀬人にも渡すものがあるんだ。」
「ふん。オレはもう行くぞ。せいぜい頑張るんだな。」
「はいはい。」

 何だかんだ瀬人は弟達を優先してくれる。本人は無意識だから気付いていないが、乃亜はこうなるだろうなとは思っていた。
 乃亜は今回、どうしても作りたかった理由がある。
 先日行われた、インダストリアル・イリュージョン社主催の大会。それに出場した瀬人は見事に優勝を勝ち取ったのだった。
 その時に撮った写真をどうしても載せたかった。
 モクバが優勝した瀬人に飛び付いている写真で、なかなかうまく撮れたと我ながら思う写真だった。
 何だか妬いてしまうような写真だが、それでも一番良いと思う写真だし、何より大会の時期的に今回の冊子に載せるのが一番ベストだと判断した。
 この写真を先に見せたくなくて、悪いと思いながらも瀬人のパソコンから共有フォルダにアクセス出来ないように制限をかけた。
 モクバのパソコンからも、その写真だけは見られないようにこっそり制限を掛けていたのだが、瀬人は流石に気付かなかったらしい。
 この写真を見たらどんな反応をしてくれるのか。それが乃亜は楽しみだった。

(さてどうするかな。とりあえずこれは…。)

 封筒の中の写真を見てみる。2人分、モクバと瀬人の分が現像してある。
 冊子が配布された後で、2人に渡すつもりだ。
 引出しの中に封筒ごと戻すと、瀬人がいなくなって静かな部屋、冊子作成に取り掛かった。

(アレ=兄弟の写真) →クリア?

* * *

瀬人その後

 先日の大会。
 各国から召集した、というわりには闘いたかった相手はことごとく出ていない。
 それなりに面白い試合もあったと言えばそうだが、負けるとはつゆほどにも思わなかった。
 大会で優勝したことよりも、その日に撮った写真の方が、今思えば良かったことだろうか。

「……ちっ、予定が狂ったか。」

 感情を一番表現するのはモクバだ。
 瀬人よりもモクバが優勝に喜んでいるようだった。
 ただ乃亜もモクバほど感情を外に出さないだけで、表情や仕草などから嬉しさは感じられた。
 その日、優勝に喜んだモクバが乃亜に抱き付いている場面があった。思わず写真に収めたが、出来上がった写真を見るとじゃれ合っているようで、なかなか微笑ましいものだった。
 丁度冊子作成の順番は瀬人。
 この写真を載せようと決めて早速冊子作成に入ろうとしたところ、共有フォルダにアクセスは出来ないわ、乃亜の部屋へ行って話をしたところで結局乃亜に順番を譲る形になるわ、写真を使う機会を削がれてしまった。
 せっかくこの写真を2人に渡そうとしたのに、タイミングも掴めやしない。
 乃亜がどんなとっておきを持ってくるのかはわからないが、とりあえず瀬人は今回の冊子作成は諦めた。
 だが予定が狂った分、次の冊子作成には全力を尽くすと密かに誓ったのだった。



write:2008.09.02


モクバは「兄サマと乃亜ってそっくりだよなー」って思ってるといいな。
仲良し兄弟愛に萌える。大好きだ^^
あれこれでも完璧に意思疎通出来てるんだぜ兄弟☆を書きたかっただけだったのに、瀬人vs乃亜は私的イメージでは固定されつつあるらしい。仲良し過ぎるけどね、兄弟!
兄弟出て来ないKC社員の日常も書きたくなった不思議。たぶん社員皆好きだと思うんだよ海馬兄弟。
若いのに凄いし、何より兄弟仲然り見た目然りふつくしい兄弟。こんな会社に勤めたい^q^

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